保険の契約者貸付制度は、保険見直しのチャンス!

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こんにちは。林FP事務所の林です。

先日の報道でもありましたが、保険の契約者貸付制度の利用が広がっているようですね。

ただ注意点ももちろんありますから、ポイントをまとめていきます。

この記事が役に立つ人

・貯蓄性の生命保険等に契約している人
・早急に、かつ一時的にお金を準備する必要のある人
・生命保険の検討をしている人

・老後資金、将来の資産運用に興味がある人

動画で学びたい方はこちら

契約者貸付制度のメリットとデメリット

貯蓄性保険(貯蓄型の終身保険、養老保険、学資保険など)には、契約者貸付制度が用意されています。契約者貸付制度とは

  • 貯蓄性の保険契約者が
  • 解約返戻金を原資に、一時的に保険会社からお金を借りる

ことができる制度のことです。この制度のメリットとしてよく言われていることが

  • 借りるのに審査が不要、保証人も不要、なので入金も早い
  • 保険を解約しなくてOK
  • 返済の自由度が高い

ですが、これらに加えて今はコロナの特別措置で、保険会社が一時的に貸付金利をゼロにしているところが多いようです。

デメリットですが

  • 保険料は相変わらず払い続ける
  • あくまで借り入れなので、いつかは返さないといけない
  • 今は貸付金利がゼロだが、これが上昇したときに、利払いが発生する

といったところです。もし返済ができなくなった場合は、保険を解約して解約返戻金と精算することになります。

あくまで借り入れだということに注意しましょう。

「保険はありがたい」は一時的な勘違い?

上記は教科書的な内容ですが、せっかくなのでもう少し深堀りしてみますね。

一部報道では「収入が減る中で、お金が手に入るのでありがたい」といった声も紹介されていますが、安易な考えには注意が必要です。

例えば契約者貸付制度では審査不要となっていますが、これ、当たり前の話です。というのも、契約者貸付制度の原資は「解約返戻金」であり、解約返戻金の原資はあなたが支払う「保険料」です。

つまりもともとあなたが払ったお金を原資にお金を借りるわけなので、審査が不要なのは当然なのです。これは例えば、銀行の預金口座からお金を引き出すのに審査が不要なのとほぼ同じ理屈です。

銀行預金を引き出すのは「ありがたい」とは言わない人が大半ですが、なぜか借りる(自己資産の引き出しより不利)となると「ありがたい」になる不思議。ここは勘違いしやすいポイントですので、注意が必要です。

もっというと、通常解約返戻金は今まで支払った保険料の総額よりも少ないのが大半なので、あなたのお金が全額返ってくるわけではありません。そのため、契約者貸付制度で借りられる金額の上限も、本来あなたが持っていた資産よりも少なくなります。

ですので、この制度はあくまでも貯蓄性保険を持っている人の「つなぎ」として考える必要があるでしょう。何かがお得になるわけではない、ということは覚えておいてくださいね。もちろんつなぎだろうと、無いよりはあったほうがいいので、利用価値があると考えれば、検討してみてください。

フリーランスや事業主が使える「より有利」な制度

今手元に貯蓄性保険がある、ということは将来に備えて何らかの「運用」を考えているということでしょう。そのこと自体はとても良いことだと思います。

恐らくですが、今、そのような保険に契約しているということは、誰かに勧められて契約したのではないでしょうか。その場合、選択肢が保険しかないように思えたかもしれません。

しかしながら、将来のための選択肢が保険しかない、と考える必要はありません。必要ないどころか、選択肢を保険に限ってしまうと本来もっと有利な条件で運用できるはずのものが、できなくなってしまう可能性がありますので注意が必要です。

iDeCoなどを使ってインデックス運用しましょうというのは近年よく言われることですが、もしあなたがフリーランスや事業主であれば、貯蓄性保険に性格が近い公的制度が使えます。中小機構が提供している「小規模企業共済」です

小規模企業共済のメリット、特徴は

  • フリーランス、個人事業主、小規模企業の経営者などが自身の退職金(老後資産)目的に運用できる
  • 掛け金が全額所得控除となり、節税効果が高い
  • 契約者貸付制度と同様の貸付制度がある
  • 共済金(退職金)受け取りは一時金なら退職所得、分割なら公的年金等の比較的優遇された税制を使える
  • そのときどきの経済状況により、掛け金の増減は自由にできる(月1,000円から7万円まで、500円単位)
  • このマイナス金利時代にありえない円ベースで「年1.5%」の利回り

もちろん民間保険と全く同じということではないです。契約期間が短いと元本を割るといったデメリットもありますし、貸付制度の自由度も民間保険の方が高いです。ただそうしたデメリットを大きく上回るメリットがあるので、まずはこちらを検討したらいいと思いますね。

小規模企業共済は一つの例に過ぎません。知っていれば得をする、知らなければ損をすることがたくさんあるので、幅広く情報収集するように心がけたいですね。

当たり前ですが、保険や証券を販売するFPやセールスマンは、競合商品となる小規模企業共済については何も教えてくれません。小規模企業共済に限らず、その他の公的制度や勤務先の団体生命保険の有利不利なども教えてくれません。

かといって、公的機関が積極的に制度をアピールしているかというと、まだまだ不十分です。というのも、そうしたプロモーションコストを加入者に還元している面もあるからです。税金が投入されている面もあるので、あまり特定の制度だけをフォーカスしても、納税者に怒られてしまいます。

立場上、仕組み上、無理なので、彼らを責めるというよりは、自ら積極的に動いて情報収集する以外にありません。

天は自ら助くる者を助く。

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契約者貸付制度のまとめ

契約者貸付制度は便利な制度ですが、あくまでも「お金を借りる」制度ですので、注意したいところです。

またコロナの経済的影響は今後長期に渡ることを考えれば、不利な商品で運用し続けることは避けたいところです。より広い視点に立って、資産運用の方法も見直していきたいですね。

本当にお得な情報、有利な情報というのは向こうから勝手にはやってきません。コロナを機会に、少しずつで構わないので、自ら情報収集する意識を高めていきましょう。

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この記事を書いた人

林 健太郎

林 健太郎

林FP事務所代表。1972年生まれ。大手メーカーに15年間勤務後、2014年に独立。「お金」という、会社員時代とは全く違う分野でコネも実績もゼロから始める。自身の投資哲学を発信するブログとメルマガが好評を博し、保険を販売せずに100世帯以上のライフプラン相談、投資相談を受ける。博士(工学・大阪大学)、ファイナンシャルプランナー(CFP®)。