生活支援臨時給付金(30万円給付)の住民税非課税とは?サラリーマン早見表で今すぐチェック!

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こんにちは。林FP事務所の林です。

新型コロナウイルスによる経済対策として、1世帯30万円の現金給付(生活支援臨時給付金)の方針が決まりましたが、対象が「住民税非課税となる世帯」ということで、住民税非課税って何?それってウチに当てはまるの??30万円もらえる!?と、住民税非課税への関心が急速に高まっていますね。

結局、住民税非課税ってどういうことなのか、当てはまるか当てはまらないか、簡単に知りたい方のために、早見表でまとめてみました。

まだ生活支援臨時給付金について詳細がわからない部分も多く、最終的にどうなるかは分かりませんが、住民税非課税についてまずは知っておいて損はないです。

この記事が役に立つ人

・自分が30万円の給付対象にあたるかどうか簡単に知りたい人

・新型コロナの経済対策の一つ「生活支援臨時給付金(世帯への現金給付)」に興味がある人

・(新型コロナウイルスの影響で)月収がとても少なくなった、もしくは急減した人

一律10万円の「特別定額給付金」となりました

(4/17追記)新型コロナの状況が目まぐるしく変わっていますが、条件付き30万円給付から、条件なしの一律一人10万円給付の方向へ急展開しています。

財源など様々な課題はあるものの、今の所その方向で進む可能性が高いので、以下は参考としてお読みください。

(4/25追記)特別定額給付金の情報が拡充されました。受付、給付開始は各市区町村で決定されるとしています。

必要になる書類等は以下の通り。

郵送による申請

1.各市区町村から郵送された申請書

2.本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証等の写し)

3.振込先口座確認書類(通帳、キャッシュカード、ネットバンキング画面の写し)

オンライン申請

1.マイナンバーカード

2.振込先口座確認書類(通帳、キャッシュカード、ネットバンキング画面の写し)

動画で学びたい方はこちら

生活支援臨時給付金がもらえる条件とは?

こちら日経電子版の記事「家計向け給付基準、全国一律に 職業でも差をつけず」からの引用ですが、生活支援臨時給付金の適用条件には大きく2つあって

  • 世帯主の月収を年収換算した金額が、住民税が課税されない低所得世帯の水準まで落ち込んだ場合
  • 住民税が非課税になるほどではないが、月収が半分以下に減り、年収換算で住民税非課税ラインの「2倍以下」

のいずれかを満たせばOKとのこと。

ただし住民税非課税という条件が複雑でわかりにくく、分かりやすい基準づくりが求められていました。

住民税非課税世帯とみなす全国一律の月収基準(早見表)

そこで4/10に総務省の生活支援臨時給付金(仮称)ページに、住民税非課税世帯とみなす全国一律の月収基準が示されました。

世帯の人数(※1)住民税非課税世帯とみなす月収住民税非課税世帯とみなす月収の2倍
1人10万円20万円
2人15万円30万円
3人20万円40万円
4人25万円50万円
5人30万円60万円
6人35万円70万円
7人40万円80万円
8人45万円90万円
※「世帯の人数」は世帯主と同一生計配偶者および扶養親族をあわせた数。生活支援臨時給付金(仮称)より林FP事務所で試算

2月から6月のいずれかの世帯主月収が、住民税非課税世帯とみなす月収(中央の列)以下であれば、給付対象となります。

同様に月収が去年に比べて半減以下となり、その月収が住民税非課税世帯とみなす月収の2倍(一番右の列)以下となる場合も、給付対象です。

ただし月収半減以下を示すための去年との比較の方法についてはまだ具体的に示されていないため、不明な部分も残されています。明らかになり次第、本記事に追記しますね。

扶養親族の数とは

世帯の人数が多いほど有利になる基準なので、世帯人数の数え方が重要なポイントとなります。ここでは特にどこまでが扶養親族なのか、という点を押さえておきたいと思います。以下の4つの条件全てにあてはまる人が扶養親族となります。

1.配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から教育を委託された児童(里子)や市町村長から用語を委託された老人であること

2.納税者と生計を一にしていること

3.年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合給与収入103万円以下)

4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。

No.1180扶養控除(国税庁)より抜粋

1と2は分かりやすいと思います。姻族とは端的にいえば義理の家族のことで、配偶者の父母、子の配偶者などです。3の合計所得金額が38万円以下という表現が分かりにくいかもしれませんが、要は所得税を納税していないということです。4はサラリーマンであれば該当しませんので、省略しますね。

下宿していて、所得税(国税)を納税していない子に仕送りをしているような場合も扶養親族に該当しますので、忘れずに人数に加えるようにしましょう。

逆にアルバイトをがんばって、所得税を納税するほどの収入がある子等は、扶養親族に該当しなくなるので注意しましょう。ただしその場合は、その子が世帯主として給付金を請求できる可能性が出てくるので、別途検討してみてください。

以下、本来の非課税世帯とはどういうものなのか、説明していきます。興味があれば、お読みください。

住民税非課税世帯とは?その条件と早見表

早見表の前に、住民税について簡単におさらいしておきますね。

収入に関する税金は国に収めるお金(国税)と、地方に収めるお金(地方税)の大きく2つがあり、住民税はこの地方税の一つ、という位置づけです。住民税はさらに都道府県と市区町村に分かれますが、両方合わせて住民税はざっくり所得の10%だと覚えておけばOKです

住民税の計算方法は

住民税 = 所得の10%(所得割)+5,000円以上(均等割)

住民税の概要(総務省)より

となっていて、非課税となるのが「所得割だけ非課税」と「所得割と均等割の両方非課税」の2パターンがあるということをまず押さえてください。

では非課税世帯の条件を確認しましょう。

両方非課税

1.生活保護法による生活扶助を受けている人

2.障害者、未成年者、寡婦、寡夫で、かつ前年の合計所得金額(※)が125万円以下の人

条件によって「所得割だけ非課税」または「両方非課税」

3.前年の合計所得金額(※)が計算式で求めた金額以下の人

市府民税が課税されない人(京都市情報館)より

ここで「※ 合計所得金額」の内容が実は複雑なんですが、この記事の対象はサラリーマンで副業収入や不動産取引収入がないもの、として説明を省略します。サラリーマンの場合、収入から給与所得控除だけ引いた金額です。後ほどシンプル化した早見表にしますのでご安心を。

総所得金額と合計所得金額の違い

引用元では、総所得金額と合計所得金額の2種類があり、それぞれ区別されていますが、サラリーマン+事業者でない場合は同じとなるため、本記事では合計所得金額で統一しています。

そもそも所得割額がゼロなら?

上記に加えて、普通に住民税を計算したときに所得割額がゼロになる場合も、所得割が非課税となります。住民税の計算方法はややこしいので省略しますが、概ね所得税(国税)の計算手順と同じです。ですので、コロナの減収で今年の所得税がゼロになりそう…という方は、住民税非課税世帯に該当する可能性が出てきます。そちらも注意しておきましょう!

さてここで、上記の条件は3に該当する人が多いだろうということで、そこにフォーカスします。「計算式」が気になるところなので、以下見ていきますね。

住民税非課税の条件 計算式

ではまず、上記3の中の「所得割だけ非課税」の条件を見ていきます。早見表を理解するために必要な知識ですので、もうしばらくお付き合いを。

所得割だけ非課税の条件

前年の合計所得金額が次の計算式の額以下の人

A.同一生計配偶者または扶養親族が「いる」場合

 35万円 x(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+32万円

B.同一生計配偶者または扶養親族が「いない」場合

 35万円

市府民税が課税されない人(京都市情報館)より

Aの場合、合計所得金額が、子供含め家族4人なら172万円以下であれば、所得割非課税ということですね。

一方Bは「単身世帯」または「サラリーマン家庭のパート勤務配偶者」などが当てはまります。合計所得金額が35万円以下とは、給与所得者(パート等)であれば年収100万円以下でこの条件を満たします。

家計を助けるパート配偶者に、同一生計配偶者がいないってどゆこと!?

パート勤務配偶者だって同一生計配偶者がいるやん!というツッコミがきそうですが、ここでいう同一生計配偶者とは、条件に「合計所得38万円以下≒年収103万円以下のサラリーマン」というのがあるので、通常はあてはまらず(それ以上の年収があるのが大半)、よって同一生計配偶者がいないという解釈となります。もちろん当てはまる場合はAとなりますが。

税金の専門用語ってややこしいですね…

年収→合計所得金額への変換式がややこしいので、あとで早見表でまとめますね。

次に、両方非課税の条件です。

所得割と均等割の両方非課税の条件

前年の合計所得金額が次の計算式の額以下の人

A.同一生計配偶者または扶養親族が「いる」場合

 35万円 x(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+21万円

B.同一生計配偶者または扶養親族が「いない」場合

 35万円

市府民税が課税されない人(京都市情報館)より

所得割に加え、均等割も非課税となるためにはAの条件が少し厳しくなり、32万円→21万円となっています。まぁ、条件が厳しくなるのは当たり前ですかね。ただしBの条件は変わりません。

お疲れさまでした!これでようやく早見表を理解するための前提知識が整いました。では見ていきましょう!

住民税非課税となる世帯主の年収上限(早見表)

世帯構成所得割のみ非課税の2倍(※)所得割のみ非課税両方非課税
単身世帯200100100
夫婦のみ264132121
夫婦+子1人340170156
夫婦+子2人444222206
夫婦+子3人544272256
夫婦+子4人644322306
夫婦+子5人740370356
夫婦+子6人828414400
上記計算式および所得税法別表第5より筆者試算(単位:万円、1万円未満四捨五入)
表の前提条件

・生活保護世帯ではなく、障害者、未成年者、寡夫、寡婦でもない人(条件3)

・世帯主は給与所得者(サラリーマン)で、その他の事業収入や譲渡収入はない

・配偶者がいない、または配偶者の所得税額はゼロ

・世帯内は全て同一生計

日経電子版の記事の「住民税非課税水準の2倍以下の水準に落ち込んだ場合に給付」という報道より、表に追記(2020/4/9)

平時の年収はこれを上回る人が多いと思いますが、コロナで大幅減収となったら、決してありえなくはない数字だと思います。

例えば夫婦+子2人の所得割非課税の条件は年収約222万円以下。その2倍以下の水準という報道から、年収444万円以下が条件と推測されます。単純に月収換算で37万円です。十分現実味を帯びてきますよね。

なお、この表では通常の手順で住民税計算後、所得割額がゼロとなる場合は考慮していません。当然その場合は所得割額がゼロとなるので、この下で考察するように「所得割額ゼロ」で現金給付なら、より条件がゆるくなる可能性もあります(ざっくりいうと、社会保険料控除や生命保険料控除もはいってくるため)。

生活支援臨時給付金(世帯向け現金給付)の条件として適用する場合の注意点

生活支援臨時給付金の条件を考えると、そんなに単純な話ではない部分もあります。

住民税非課税かどうか確定するのは来年。どう予測する?

まず一番気になるのが、そもそも住民税額が確定するのは「来年」になってからです。今年の収入が全て確定しないことには、税額もわからないし、当然非課税になるかどうかもわからないです。

一方で、現金給付の施策は「今困っている人」に給付するわけですから、じゃぁどうやって、来年住民税非課税となることを「今予測」するのか?という難問が立ちはだかります

これについては現時点で詳細が分かりません。収入が減ったことを証明する給与明細を持ってくる、などが例として挙げられていますが、一時的に減って回復する人もいれば、時間差で給与が大幅に減る人もいるわけです。

2月、3月の給与明細だけで非課税世帯かどうか決められるような、単純な話ではありません。

これについては、政府がわかりやすい一律の条件を設定する方向で検討が進んでいるようです(4/10現在)。

所得割だけ非課税でOKか、それとも両方非課税が必要?

上記の通り、住民税非課税には所得割だけの場合と、所得割と均等割の両方非課税の2パターンがあります。現金給付がどちらの要件でOKとするのか、これも現段階で定かではありません。

もし所得割額ゼロだけでいいのであれば、上記に書いたとおり「通常の住民税の計算で所得割がゼロ」になる場合があり、上記条件よりも緩くなる可能性があります。

社会保険料控除や生命保険料控除が(厳密には違いますがざっくりいって)上乗せになってくるためで、その場合該当する人が増える可能性もありそうです。

こちらも、政府からのわかりやすい統一基準があれば、とりあえずは解決しそうです。

フリーランスや自営業者も対象(サラリーマン限定ではない)

住民税非課税世帯とは、なにもサラリーマン世帯だけではありません。フリーランスや自営業、年金受給者含め、全ての人に可能性があります。

一方、報道を見る限り、サラリーマン世帯を前提にしているようにも見えます。

このあたりの判断の明確な基準がまだ示されていないため、これも現段階では不透明です。

フリーランスや自営業者には別途「持続化給付金(上限100万円)」があるため、生活支援臨時給付金との二重取りもできる、といった記述がありました。したがって、サラリーマンに限定したものではなさそうです。

なお、二重取りできるのは不公平ではないか?との意見があるかもしれませんが、持続化給付金は給与ではなく「売上が半減以下」という条件なので、一緒に議論することは難しいです。通常売上が半減したら、経費を差し引くと赤字に転落している可能性が高く、むしろ生活支援臨時給付金+持続化給付金でも足りない、との意見も出てきているようです(同日経記事より)。

ボーナス(賞与)は考慮されない?

月収基準ばかり注目されていますが、サラリーマンにとって賞与(ボーナス)も貴重な収入源です。経済が落ち込んでくると、企業としては特に賞与で調整したいのではないでしょうか。

極端な話、月収が変わらなくとも賞与がゼロになるということはあり得る話で、その人に給付支援が行かないというのもちょっとおかしな感じがします。

政府が明確な基準を出すということですから、賞与に関しても、何らかの言及をする必要があるように思います。

生活支援臨時給付金(世帯への現金給付)の条件、住民税非課税の条件まとめ

新型コロナ経済対策として現金給付案が浮上しており、その適用条件の住民税非課税についてまとめてみました。

住民税非課税とは、所得割のみ非課税の場合と、所得割、均等割の両方ともが非課税の場合の2パターンがあります。それぞれについて、特定のサラリーマン世帯の年収条件について表にまとめてみました。

現段階では不明点も多く、これだけで結論することができませんが、30万円、もらえたらインパクトが大きいですよね。引き続き、今後の発表に注目していきたいと思います。

追加の発表があれば、本コラムを修正、もしくは新しいコラムにする予定です。

ご注意

住民税の実際の条件は各都道府県、市区町村で異なる場合があります。詳しくはお住いの自治体窓口までお問い合わせください。また個別の住民税額等については、税の専門家またはお住まいの自治体窓口までお問い合わせください。

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この記事を書いた人

林 健太郎

林 健太郎

林FP事務所代表。1972年生まれ。大手メーカーに15年間勤務後、2014年に独立。「お金」という、会社員時代とは全く違う分野でコネも実績もゼロから始める。自身の投資哲学を発信するブログとメルマガが好評を博し、保険を販売せずに100世帯以上のライフプラン相談、投資相談を受ける。博士(工学・大阪大学)、ファイナンシャルプランナー(CFP®)。