こんにちは。林FP事務所の林です。
人から勧められたり、キャンペーンで紹介されたりして、内容をよく理解しないまま保険を契約してしまう人は非常に多いです。
僕が発行しているメルマガ読者の方からも、よくわからないまま外貨建て保険に入ってしまい、その見直しを行いたいがどうすれば良いかわからないという相談をいただきました。
ライフプランを設計してから保険を見直すべきか、先に保険を見直すべきかがわからなくなり、息子が大学生になりお金がかかるので何か見直すべきことは無いか、という内容です。
この方と同じように、すでに保険を契約している方にも参考になると考え、外貨建て保険の概要やライフプランと保険の見直しについて、記事にまとめました。
すでに保険契約をしている人にはもちろん、保険への加入を検討している人にも参考になる内容となっています。
・保険には節税等のメリットがある反面、外貨建て保険は為替リスク、一国集中、高コストのため一般にお勧めしない。
・ライフプランの見直し→保険の見直しの順がベスト。外貨建て保険のように必要性の低い保険を契約しているなら、先に保険を見直すのも手。
・保険はあくまで保険。投資を考えるなら、まずはNISAやiDeCoなどよりメリットのある制度を活用しましょう。
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ご相談内容
外貨建ての保険に入っています。私自身、よく分からなく入ってしまいました。
林FPさんの話を読んで、見直しが必要だと思いました。
まず、ライフプランから行う方がいいのか、保険を先に見直しした方がいいのかよく分からなくなりました。
息子が、大学生となりお金もかかるので、何か見直せるものがあればと思ってます。
メルマガ読者 T様より
外貨建て保険、一般的な注意点
外貨建て保険は、日本よりも金利の高いアメリカドルなどの外貨で運用される保険です。
金利が高い点で貯蓄のように考えられることから、円での保険よりも有利な保険として紹介されることも少なくありません。
また、保険であるため、生命保険料控除や受け取る際の一時所得控除など、税制面での優遇を受けられるというメリットも当然あります。
しかし僕は外貨建て保険をおいしい投資商品だとは考えていません。その理由は外貨建て保険がリスク高めの金融商品だからです。
外貨建て保険のリスク
外貨建て保険では一般的に以下の3つがリスクとして考えられます。
- 為替リスク
- 一国集中
- 高コスト
まず、外貨建てのため為替変動によるリスクが挙げられます。外貨の種類によって変動幅が異なり、変動幅の大きい通貨であればその分リスクも高まります。
それから、外貨建て保険は、僕が確認したところ、複数の通貨に分散したものはなく、一国の通貨のみで運用されているものばかりでした。
複数の通貨で運用されていれば、ある特定の国に問題が起きても値動きの幅が少ないのですが、一国集中だと値動きの幅が大きくなってしまいます。
最後に、外貨建て保険は高コストの金融商品であるため、購入のハードルが高いというリスクがあります。
保険などの金融商品には手数料などのコストが含まれており、そのコストが高いほど利益幅が小さくなるので、うまみは少なくなります。
このコストについて保険会社などが金額を公表しているわけでは無いので、あくまで保険料金を見た上での推測ではありますが、外貨建て保険は高コストだと考えられます。
外貨建て保険をよくわからないまま契約するのは危険
全ての金融商品にも言えることですが、内容を十分に理解していないまま契約を行うことは大変危険です。
保険勧誘や広告などでは商品の良い面が大きく説明されている反面、マイナス面の説明は非常に小さく目立ちません。
これは世の中で販売されているもののほとんどに当てはまるかもしれませんが、保険の場合は金額が大きく、また、長期に及ぶため、より慎重に検討しなければなりません。
大まかな内容を掴むだけでなく、金額の変動リスクや契約条件、解約条件など、自分自身でよく勉強するか、FPのセカンドオピニオンを利用するなどして、細部まで内容を理解した上で契約を行うようにしましょう。
リスクの小さい金融商品を選ぶ
投資をするならば、外貨建て保険よりもリスクが小さい金融商品を選ぶという選択肢があります。
例えば、複数銘柄に分散投資を行うインデックスファンドであれば、値動きの幅が狭くなるのでリスクは小さくなります。また、インデックスファンドは他の金融商品と比べて運用コストが低いという特徴があります。
それから、iDeCoやNISAなど税制優遇のある商品であれば、その分コストが低くなるため、値崩れのリスクが小さくなります。
最近では、保険よりも投資商品への税制優遇が拡充してきており、投資商品の方がより大きなメリットを得られることも珍しくありません。
外貨建て保険の目的が投資であるならば、それ以外の金融商品が好ましいことも多いので、ぜひ比較検討をしてみてください。
ライフプラン、保険の見直しどちらが先?
通常、ライフプランを設計してから、それに適した保険などの金融商品を検討するという流れが理想的ではあります。
しかし、すでに保険の契約を行っていて、上記で説明したリスクに当てはまるものであり、受け入れられないということであれば、先に保険を見直すのもありです。
ただし、保険を見直す際にも、契約する際と同じく、表面的なメリットやデメリットに惑わされず、細部まで内容を理解した状態で行う必要があります。
自分自身でしっかり保険全般に関する知識を収集し、契約している保険の良し悪しを判断するか、FPにセカンドオピニオンを求めるという方法が妥当です。
なお、FPにセカンドオピニオンを求める場合には、保険の販売を行っていないFPに行うようにしましょう。保険販売を行うFPであれば、自身が取り扱う商品を勧めてくる可能性が高いからです。
FP協会の無料相談会では、保険の販売が禁止されているため、参加するチャンスがあれば、それを利用するのも一つの手です。
ライフイベントの例「息子が大学生で、お金がかかります」
冒頭で紹介したように今回相談されたメルマガ読者の方には、大学生になるお子様がいらっしゃいます。
大学生というのはもっともお金がかかる時期です。このようなお金のかかる時期に、外貨建て保険のようなリスク、そしてコストが高い金融商品を選ぶというのは非常に大きな支出となります。
大学在学中に資金が厳しくなり、保険を解約しなければならない状況におちいってしまったら、何のために保険を契約したかわからなくなってしまいます。
家族や資産の状況を改めて整理し、ライフプランをきちんと設計するべきです。そうすれば、外貨建て保険だけではなくその他の資産構成もライフプランに合ったものかどうかを判断することができるようになります。
ライフプランを作成しておけば、将来的にも役立ちますので、これを良い機会と捉え、ぜひライフプランを設計してください。
まとめ
外貨建て保険は「為替リスク」「一国集中」「高コスト」のため、他の金融商品に比べて、あまりおすすめできる商品とは言えません。
保険は金額が大きく、長く運用していくものなので、きちんと勉強するかFPからセカンドオピニオンを得ることで、細部まで理解した上で契約の是非を判断しましょう。
また、投資が目的であれば、よりリスクの小さいものや非課税制度など優れたものがあるので、そちらも比較検討するべきです。
それから、本来はライフプランを設計してから、それに合致する金融商品を選ぶという流れになりますが、明らかに保険に問題があるという場合には保険の見直しを先に行うのもありです。
最後に、金融商品の契約をなんとなくで決めてしまうと、お金がかかる時期と資産構成がちぐはぐになってしまう可能性があります。
これを防ぐためには、ライフプランをしっかりと設計し、現状確認を行い、それに合った金融商品を選ぶように意識しましょう。