国民年金保険料は月々16,410円(令和元年度)と大きい金額です。失業中で支払いが困難である、個人事業を営んでいても売り上げが落ち込んでしまったなど支払いが厳しい時があってもおかしくはありません。
ただし国民年金では支払いが困難な人に向けて、免除と納付猶予を与える制度があります。
この制度を利用すれば、審査に受かる必要はありますが、支払いに厳しい時は納付を先送りすることができます。
また、免除、猶予を受けた分の納付を後で行うことを追納と言います。追納できる期間は有限なので気をつけなければなりません。
そこで、この記事では、国民年金の追納可能な期間、免除と納付猶予における違いと手続き方法を説明していきます。
国民年金の猶予の追納期限
国民年金保険料の追納期限はぴったり10年です。この10年から1月でも遅れると追納できなくなってしまいます。具体的には、2010年1月分の保険料を追納できるのは2020年1月までということです。2020年2月には追納することはできません。
免除期間、猶予期間が複数月に及ぶ場合は古い時期のものから先に追納されます。古い時期は全額免除だったが、新しい時期が一部免除だったため、受給額の少ない一部免除の方を先に追納したいと考えても不可能ということです。
それから、10年以内に追納する場合でも、未納月の翌年度から3年以降、保険料金が上がります。2010年1月分の保険料を払う場合、2013年4月以降は納付金額が上がります。そして、1年経過するごとにさらに金額が上がってしまいます。
なるべく金額を増やさずに追納するためには、翌年度から3年以内に納付する、その期間を過ぎてしまったら次の年度内(3月までに)納付するようにしましょう。
国民年金の免除、猶予の違い
国民年金の免除と猶予は共通する項目が多い制度です。異なる点としては、免除を受ければ年金額へ反映されるが、猶予を受けても年金額へ反映されないという点です。つまり免除を受ければ受給額が増えますが、猶予では受給額が増えないということです。
それから、制度を受けられる年齢にも違いがあります。免除は20歳〜60歳ですが、納付猶予は20歳〜50歳までしか受けることができません。猶予制度は後から支払う前提の制度なので年金受給開始年齢に近づくにつれ申請ができないという訳です。
また、国民年金を受給するには10年以上の受給資格期間が必要になります。免除と猶予を受けた期間は両方とも受給資格期間として数えられます。未納の場合には受給資格期間とみなされないため免除や猶予と比べてリスクがあります。
なお資格期間はもともと25年以上でしたが、2017年に10年以上に改定されました。保険料の未納期間が15年以上となり、受給資格を失った人が多くなり、納付される保険料が減ってしまったことを受けての改定だと考えられます。
個人事業主やフリーター、そして失業者などの多くが支払えなかった、または支払いたくなかったという結果だと言えます。免除制度や猶予制度を知らない人も少なくありません。
国民年金の免除、猶予手続き
国民年金の免除や猶予について、誰もが受けることのできる制度ではありません。いずれも経済的に納付が困難だと判断された場合に許可が降ります。
承認基準は所得額により算出されます。もっとも厳しい全額免除では「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」以下であること、その反対である4分の1免除は158万円と扶養親族等控除額、社会保険料控除額等の合計以下であることです。
それから、全額免除と聞くと納付済みと同じ扱いになると勘違いしてしまうかもしれませんが、実際には、全額免除の場合、年金額は2分の1として計算されます。4分の3免除では8分の5、半額免除では4分の3、4分の1免除では8分の7となります。
全額免除を受けても受給額を満額受け取りたいのであれば、追納しなければいけません。
国民年金の免除、猶予手続きを行うには、市区役所の窓口に行く必要があります。ネット手続きや郵送手続きにて申請を行うことはできません。
ただし申請書とその書き方を日本年金機構のホームページよりダウンロードすることはできます。
このページにあるケース3のリンクから取得することができます。学生の場合はケース4を参照してください。
まとめ
国民年金の支払いが経済的に困難な場合には免除制度もしくは納付猶予制度を受けることができます。
所得の金額による審査はありますが、未納期間は免除期間・猶予期間と違い、受給資格期間にはならないので、支払いが難しい状況であれば一度市区役所にて相談することをおすすめします。
それから、全額免除と言っても、満額が受給されるわけではありません。満額を受給するためには追納を行う必要があります。
追納が許されている期間はちょうど10年前の分までで、10年から1ヶ月でも遅れると追納することができなくなります。またおよそ3年以上経過すると納付金額が加算されてしまうので、元の金額で支払いたいのなら3年以内に納付しましょう。