こんにちは。林FP事務所の林です。
今回は林FP事務所のメルマガ読者の方から頂いたご質問にお答えしようと思います。早速ですが、ご質問はこちらです。
興味深く拝読しております。
時間を味方につけて増やしていく投資信託。波があっても止めてはいけないと林先生はじめ様々なライフプランナーや投資を勧めている方が言っておられますが、私は投資初期に外貨建ての保険で大きく損をしており(どんどん円高が進んでいるから。持ち歩けてますが豪ドル6年下がりっぱなし)、またそうなるのではと心配です。ワールドリート、、、という名前の投資信託も分配金も基準価額も下がり続けています。持ってたってダメじゃないかと正直思って来ました。
よく、運用6%成績とか、少なくても3%成績とかパンフレットにはいいこと書いてますが、契約したら少なくても10年は続けないと売却したときに割れますし、マイナスだったとしても自己責任ということで、結局、恐くて踏み出さないのが一番まともだと思ってしまいます。
信用できる変額保険や投資信託は、どれなのか指南ください
(Pさんより)
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【回答】信用できる変額保険や投資信託はあるか?
Pさん、ご質問を頂きましてありがとうございます。
買った商品が下がり続けていたら、確かにそのような気持ちになるのはよく理解できます。このまま持ち続けていいかも、不安になることでしょう。
さてご質問の件ですが、いろいろな視点で回答できるとは思いますが、残念ながらそのような保険や投資信託は「ありません」。
恐らく質問者であるPさんの「信用できる」は、買った後に利益が出る商品はありますか(事前に分かりますか)という意図だと思われます。しかし、買った後に利益が出るかどうかが事前に分かるリスク商品はありません。
確かに「利益が出た」商品は世の中に沢山あります。なので一見、分かりそうだと思うかもしれませんが、それはあくまで「事後的」に見てそういえるのであって、過去利益が出ていなかった時点で現在の利益(つまり過去から見て未来の利益)が分かっていたわけではないのです。
そういう意味で、率直にありません、とお答えしておきます。
もちろん銀行預金のような商品であれば、わずかとはいえ利息が付きますから、こうした商品であればPさんの文脈での「信頼」はできるかもしれません。しかしこれとて、将来のインフレに勝てるかどうかは事前に分かりません。そういう意味で、預金であっても広い意味でのリスクはあると言えるでしょう。
世の中、絶対確実に儲かる投資商品などないと思ってくださいね。
ということを踏まえた上で、ではどうしていけばいいかについてもう少し踏み込んで回答していきます。
投資をすべきかどうかについて
そもそも投資をするべきかどうかについて、まずは考えを進めていきましょう。Pさんがご質問の中でおっしゃっている
結局、恐くて踏み出さないのが一番まともだと思ってしまいます。
についてですが、本気でそう思うなら、投資などしなくて全然構いません。
世の中、NISAだのイデコだの、かまびすしいですが、いくら非課税制度が充実しても、低金利で預貯金ではお金が増えないとしても、だからといってPさんが投資をすべき直接的理由にはなりません。
世の中のこうした風潮を利用し、さも投資をしなければ老後が危ないかのような営業をかけてくる人がいるかもしれませんが、それは短絡的すぎます。老後にお金が少なければ苦労するのは確かですが、お金を増やす方法は投資に限らないからです。
FPとして、お金を増やすステップとして以下を強調しておきます。
- 合理的な節約をする(節約とケチは違いますが、長くなるのでここでは省略します。本来の節約は、心もサイフも豊かにしてくれるものです)
- 収入を増やす
- 投資をする
上から順に「確実性が高く」、「効果的」な方法です。
上2つをすっ飛ばして、いきなり優先順位の一番低い、増えるかどうかも分からない不確実な投資に踏み込ませようとする人は、お金を増やす方法について根本的に間違えている可能性が高いので、注意が必要です。
もちろん、詳しいことはPさんにお話をお伺いしないと分かりませんので、実際のところはなんとも言えません。
ただ、世の中が投資に向かっているからという理由だけで投資をしようとするなら、それは失敗する可能性が高いということはお伝えしておきます。
まずは丁寧にライフプランを作り、現状を把握すること、節約や収入アップなど確実にできることから始めることをお勧めします。
投資する場合のリスクのとり方について
では上記を理解し、ライフプランを見るなどして投資以前の課題は解決した上で、投資をすると決意したとしましょう。
投資を進める際にも、一般的な原則があります。
- 投資先を分散し、個別銘柄のリスクは避ける。
- ライフプランやリスク許容度などを勘案して、資産のリスク配分を行う。これは投入する金額で調整する(いわゆるアセットアロケーション)
- ライフプランへの影響を考慮し、節税効果が高くなるよう、資産を配置する。
- 資産に投資するための経済合理的な商品(許容範囲の手間で管理でき、コストが低い、など)を選択する。
- その上で、どうしてもリスクの高い商品に投資したい場合は、金融資産全体の1割未満など、少額で行う(これは当事務所の考え)。
これらを徹底することで、可能な限り余計なリスクをとらずに証券投資が可能となります。
こうしてみると、「どの商品に投資するか」という言葉が前半には出てこず、最後のほうで少し出てくるぐらいです。
実際、投資をされる場合はライフプランとリスクへの許容度などを見ながら、資産配分や資産の置き場所を調整した上で、最後の最後に例えばコストの低いインデックスファンドなどの「商品を当てはめる」という感じになります。
ですので、さあ投資を始めようという段階でいきなり商品を選ぶというのも間違いになります。
外貨建て保険やリートの投資信託など、商品自体の良し悪しもありますが、その前に上記の原則がきちんと理解できているかを確認してくださいね。
変額保険について
少し気になった点としてご質問の中に「変額保険」というキーワードが入っていましたが、変額保険は一般的に投資に向かない商品です。保険全般が投資には向かないという人(FP)もいますが、そこまではいかないにしても、変額保険は投資に向かない商品の典型です。
詳しく話し出すとまた長くなってしまいますので、興味がありましたら弊所ブログのこちらの記事も参考にされてください。
まとめ
以上のことから、
- 節約や収入アップをすっ飛ばしていきなり投資の話をする人
- 仮に投資をするとしても、リスクのとり方の基本をすっ飛ばしていきなり商品の話をする人
には注意をされたほうがいいでしょう。
仮に話を聞くにしても、距離を置くのが得策かと思います。
以上、商品販売に関わらないFPとして、個人の考えも交えながらお話させていただきました。僕個人の考えも入っているので、「それは違う」と主張される人も中にはいるかもしれません。
そういう様々な意見も含めて、最終的にご自身の責任で判断するのが投資家自身の仕事になります。
それが出来ないなら、無理に投資をしなくても構いません。まずは節約や収入アップなど、より確実な方法を選択しましょう。