こどもの教育費、いくら必要?(高等学校編)

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こちらの記事では、中学校以前の教育費について解説しました。

9年間の義務教育が終わり、次に気になるのは高校進学のことです。

高校受験はお子様の初めての受験になる方も多いのではないでしょうか?

小学校や中学校と違い高等学校は自分たちで学校を選択し、受験しなければいけません。お子様の未来の選択肢を広げられる反面、どの高校へ進学するかによって必要な教育費の額が変わってきます。

現在は高校無償化や私立高校へ通わせている世帯への支援制度などもあり、以前よりも家庭の負担額が減ってきています。

しかし、支援金だけでは足りない場合や授業料以外の費用も必要となります。

支援制度や高校3年間の教育費、受験費用の相場を把握して、今から準備をしていきましょう。

高等学校の教育費の平均費用は?

区分公立高等学校 (全日制)私立高等学校 (全日制)
費用内容年間平均年間平均
学校教育費 (内 通学関係費)280,487円 (79,432円)719,051円 (114,043円)
学校外活動費176,893円250,860円
月平均38,11580,826
年間合計457,380969,911
3年間合計1,372,1402,909,733

出典:文部科学省「子供の学習費調査」(平成30年度)

高等学校の1年間にかかる平均金額は公立が約46万円、私立が約97万円となっていて年間で約51万円の費用差が出ます。3年間の合計にすると公立が約137万円、私立が約290万円で150万円以上の金額差となります。

通学関係費は通う学校や手段により異なりますので、それを除く年間の平均学校教育費は公立高校で約20万円、私立高校で約61万円となり、純粋な学費だけの年間金額差は約41万円となりました。

こちらは費用内容を簡単にまとめたものです。

・学校教育費

授業料や学校納付金、修学旅行、PTA会費など、学校教育に関わる費用全般を指しています。また通学費用もこちらに含まれます。

私立高校の学校教育費は公立高校の約2.2倍となっています。

私立の学校は公立の学校よりも学校教育費における授業料や学校納付金の割合が大きく、この2つだけで費用の6割以上を占めます。

公立の学校の場合は通学関係費が1番多くの割合を占め、授業料と学校納付金の割合は合わせても費用の3割程度です。

通学費用は通う学校により大きく異なってきますが、私立の学校の場合県外の学校へ進学する方もいるため、公立の学校よりも高い金額になる傾向にあります。

通常の定期券に比べると通学定期はさほど高くはありませんが、年間で計算するとそれなりの値段になります。学校を選ぶ際は、距離や通学の方法なども合わせて考えると良いでしょう。

・学校外活動費

学習塾や家庭教師、自宅学習用の用具、参考書など、学校外で発生する学習費用の総額を指します。

私立高校の学校教育費は公立高校の約1.4倍となっています。

こちらは家庭ごとに金額差が生じやすいので、あくまで平均値として参考にしてみてください。

受験対策などで学習塾や家庭教師の利用を考えている場合は、学校教育費の他にこちらの費用もしっかり準備しておいた方が良いでしょう。

学習塾の年間費用は、集団指導か個別指導か、学年によっても異なりますが、年間40万円から80万円、多くかかる場合は100万円程度になることもあるようです。

学習塾の費用だけで学校教育費以上の金額が必要になる場合もあるので、教育費の一部として忘れずに準備しておいた方が良いでしょう。

高等学校の受験料(入学考査料)

高等学校を受験するさいは、たとえ公立の学校であっても受験料が必要になります。

公立高校…2,200円(一部県を除く)

私立高校…15,000~30,000円

公立高校は2,200円に対し、私立高校は学校ごとに受験料が異なります。

私立高校の受験料の平均は約22,000円と公立高校の10倍の金額です。

受験料を最小限に抑えるには第一希望の公立高校のみの受験ですが、保険で私立高校を併願受験する方がほとんどではないでしょうか?

その場合、2校分の受験料として2~3万円必要になります。

もし私立高校に絞って受験を考えている場合は5万円~で見積もっておいた方が良いでしょう。

初年度は入学金の準備も忘れずに

初年度は入学の準備でたくさんのお金が必要になります。

制服や教科書の他に入学金を納めなければいけません。

入学金も受験料同様に公立高校と私立高校では大きく異なり、私立高校の場合は学校によっても金額に差があるので確認が必要です。

公立高校…5,650円(一部県を除く)

私立高校…200,000円~250,000円前後

入学金(納付金)は初年度のみ支払う必要があり翌年以降はこの費用はかかりません。

平成30年度の高等学校初年度の学習費総額は、公立高校で約51万円、私立高校で116万円と2学年、3学年の時と比べて高く、入学金の支払いや制服、教科書などの入学準備費用で初年度は1番費用のかかる年になります。

私立高校の場合、入学金や授業料の納入時期が学校ごとに異なるので、いざという時のためにある程度まとまった費用を準備しておきましょう。

高校無償化とは?

国公私立問わず高等学校等に通う所得等の要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料の支払い負担を軽減するの高等学校等就学支援金を給付するとして2010年に開始されました。

高校無償化と言われていますが、正しくは「高等学校等就学支援金制度」というもので、文部科学省が行う授業料支援を指しています。

2014年には世帯所得の制限が加わり、現在では公立高校、私立高校問わず年収910万円未満の世帯に対して就学支援金が支給されるようになっています。

さらに今年4月より公立高校と私立高校の授業料の支払い格差を埋めるべく、私立高校の授業料無償化に向けた制度改革が行われました。

また、各都道府県でも私立高校の授業料無償化のためにさまざまな独自制度が実施されています。

それでは、どんな制度なのか確認してみましょう。

2019年度までの制度(高等学校等就学支援金制度)


【2019年度から】高等学校等就学支援金リーフレット 

2019年度までの「高等学校就学支援金制度」は公立高校、私立高校を問わず年収910万円未満の世帯に年間118,800円(月額9,900円)を支給し、私立高校へ通う世帯には年収に応じて更に加算支給するというものです。

支給額は以下の通りです。

・公立高校…年収910万円未満 118,800円(月額9,900円)

・私立高校…年収270万円未満 297,000円(※2.5倍)

      年収270万円~350万円未満 237,600円(※2倍)

      年収350万円~590万円未満 178,200円(※1.5倍)

      年収590万円~910万円未満 118,800円(月額9,900円)

※基準額118,800円に対しての倍率です。

こちらに記載の年収はあくまで目安となります。課税所得をもとに支給額が決まります。また、家族構成や家庭の環境により対象になる金額も変わってくるので自分の家庭がどの対象になるのか確認が必要です。

紹介した支給額は全日制の高校が対象で、定時制高校や通信制高校は支給額が異なります。

公立高校の場合、月額9,900円が支給限度額となっており、授業料が限度額に達しない場合はその授業料分が支給額となります。

支給額は国から学校に直接支払われ、公立高校であれば授業料は支給額以内で収まるので不徴収となります。そのため公立高校は実質、授業料無償となります。

しかし私立高校の場合は支給額では足りないため、授業料無償とはいきません。

そこで公立高校と私立高校の費用負担差を少しでも減らすための施策として、私立高校へ通う世帯には年収ごとに支援金を追加加算するようになっています。

2020年度からの変更点

文部科学省:令和2年4月からの「私立高校授業料実質無償化がスタート」リーフレット

今年の4月からは高等学校等就学支援金制度が改正されました。

変更点は主に子どもを私立高校へ通わせている世帯への加算支給額の上限引き上げとなります。

以前は保護者の年収により加算上限が118,800円の1.5倍~2.5倍となっていましたが、今年の4月からは年収590万円未満の世帯は上限金額が396,000円に引きあげられました。

授業料が支給金額以下の場合は授業料が「実質無償」となり、それ以上の場合は各世帯で負担となります。

年収590万円~910万円未満の世帯は以前と変わらず118,800円の支給となり、年収910万円以上の世帯については支給がありません。

こちらの改正後の内容は在校生(2020年以前に入学した生徒)にも適用されます。

公立高校については以前と変わらず年収910万円未満の家庭に118,800円(月額9,900円)が支給されます。

なお就学支援金制度を利用するためには申請が必要となります。

申し込み時期については入学時の4月など手続きが必要な時期に学校から案内されることになっているので案内があったさいは忘れずに申請しましょう。

申請した月より支給開始となります。

各都道府県、自治体による支援制度も確認しましょう

子育て世帯にはとてもありがたい就学支援金制度ですが、国からの給付金だけでは私立高校の授業料を一部しかしかまかなえない場合もあると思います。これに対して、国の就学支援金に上乗せをする形で、独自の支援金や補助金で私立高校への進学を支援している都道府県や自治体もあります。

例えば、東京都では就学支援金に合わせて年収目安910万円未満の世帯に最大で456,000円の支援があったり、大阪府では私立高校授業料の保護者負担を実質無償化または年間10万円で収まるように支援する取り組みがあります。

就学支援制度の概要は自治体ごとに異なっているので、申請の時期や方法、対象者、支給額などについては、通っている私立高校や自治体で確認してみて下さい。

平成29年度の文部科学省学校基本調査によると、私立の高校へ進学している方は全国で約32%、私立高校の割合が多い東京では約55%の方が私立高校へ通ってます。

少子高齢化で公立高校の数が減ってきているのを考えると、お子様が私立高校へ進学する可能性もおおいにあるでしょう。

私立高校は公立高校に比べて金銭的に大きな負担になりますが、今回お話した就学支援金制度などを利用することによって、金銭的に私立高校への進学を視野に入れてこられなかったご家庭も、お子様を私立高校へ通わせるという選択肢をとれるようになるかもしれません。

今後も制度の改正が行われる可能性がありますのでお子様の進路に合わせて最新の情報をチェックしていくことも大切です。

もしもの時に備えて、私立高校のケースを想定して教育資金を準備していく必要があるかもしれません。

お子様の明るい未来のために、ぜひ一度家族で話し合いをしてみて下さい。

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この記事を書いた人

マネ賢 マネ賢

マネ賢

マネーの賢泉事務局アカウントです。これからも役立つコラムを公開していきます!