多くの方は定年後には老後の生活が待っていますが、収入が減ってしまうことから頼りになるのが年金です。
しかし、定年退職するのが60歳であっても年金の受給開始年齢が65歳ということもあり、老後資金をどう貯めるかに関心が高まっています。
老後資金の準備を今から始めて貯蓄ができれば、気持ちにゆとりが出てくるでしょう。
ここでは、老後に一体どの位の資金が必要なのか、資金を貯めるにはどの方法があるのかについてご紹介します。
老後生活を快適に過ごすために
老後の生活を快適に過ごすためには、老後の生活の状況や生活費が一体いくらかかるのかあらかじめ想像しておくことが大切です。
現役世代の段階で20年以上先の未来を想像することはなかなか難しいのですが、現状の生活費を土台にして考えた場合、老後に向けて蓄えるべき貯金額のある程度の目安を見積もることは可能です。
また、貯金額を考える上で生活費以外にも子供の結婚や出産の際に贈るお祝いの費用や趣味に充てる費用も含めて想定しておけば安心ですし、将来の家の修繕費や車の購入といった大きな出費も併せて貯金しておけば、いざという時に困りません。
将来に備えて老後資金を計算するうちに、貯金できる費用を捻出できるか不安に感じることもありますが、現在必要な出費でも将来不要になる可能性がありますので、まずは老後のイメージをするということが大切です。
そのうえで、現在の家計のあり方を見直したり、貯蓄を始めたり、といった行動に移りやすくなるでしょう。
定年退職後に必要な老後資金の目安は?
老後の人生を過ごすために必要になる老後資金ですが、60歳で退職した後に働くことなく余生を送る人もいれば、再雇用を希望して働く人もいるため、実際の退職を迎えるタイミングは人によって違います。
そのため、どのくらいの資金が老後の生活に必要なのか考えて備えることが重要です。
公的年金は老後資金に補填できるので頼りになるものですが、今まで受け取ってきた毎月の収入と比較すると多くないケースがほとんどです。
厚生年金の受取額は男性で17万円前後、女性はおよそ10万円が平均的ですが、国民年金になると男性は6万円前後、女性は5万円くらいと言われています。
それに対し、支出する生活費は独身の方で17万円程、夫婦だとおよそ35万円以上の資金を用意できればゆとりがある生活が送れるという調査結果があります。
つまり、上記のような平均的なケースの場合、年金額では生活費が足りず、貯金を使って生活しているの場合が多いのが現状です。
さらに、万が一の介護費用や葬儀費用なども用意することを考えると、65歳から85歳までを老後生活と仮定した場合、独身の方で大体1,500万円前後、夫婦2人の場合では約2,000万円以上の資金を用意した方が良いと言われています。
早いうちから老後資金を蓄えられる方法とは?
老後生活や老後資金を考えることは現役世代には早いと思うかもしれませんが、老後資金を用意する時期は早い方が得策と言えます。
毎月コツコツ蓄える金額が少額であれば負担が軽くなりますし、気持ちにも余裕が生まれます。
将来の老後資金をできる限り多く蓄えたいなら、貯蓄できる方法がいくつかありますので検討してみると良いでしょう。
確定拠出年金
上記で述べている「年金」は皆が加入している公的年金ですが、老後の生活をさらに充実させるために任意で加入できる「私的年金」の制度があります。
確定拠出年金はその私的年金の一つで、
- 加入者や事業主が掛金を拠出する
- 加入者がその資産を運用する
- 運用の結果により年金の受給額が決まる
という制度です。
確定拠出年金には企業型と個人型があります。企業型は勤務先により導入しているかどうか、拠出額、個人で上乗せの拠出ができるかどうかなどの違いがあります。個人型は「iDeCo」という愛称で良く知られていますが、法改正によりほとんどの人が加入できるようになりました。
税の優遇措置もあることから、加入者も増えています。
拠出した額が基本的には60歳まで払い出しできない、拠出の運用をどのようにするか自分で判断する必要があるといった特徴があります。
個人年金保険
私的年金の中で生命保険会社が販売しているものが個人年金保険です。保険料を60歳や65歳まで払い込み、その保険料をもとに満期年齢から有期年金や終身年金、一時金を受け取ることができます。
60歳で定年になった場合、公的年金受給年齢65歳までの空白期間を補う目的で利用する人も少なくありません。また、公的年金で受け取れる金額だけでは不安なことから、老後資金の補填目的で加入する人もいます。
この個人年金保険の特徴は、継続的に支払っている保険料を、年末調整や確定申告で個人年金保険料控除という形で申告できることです。
財形貯蓄制度
毎月勤務先で受け取る給与の中から一定金額を天引き、貯蓄できる財形貯蓄制度と呼ばれる制度があります。導入している企業に勤務する社員が利用できます。
財形貯蓄制度には、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類あります。老後資金を目的とするなら主に財形年金貯蓄、一般財形貯蓄が該当します。それぞれに積立可能年齢や払い出し時期や非課税措置などが異なります。
小規模企業共済制度
フリーランスで活躍する人や自営業で働く人のために小規模企業共済という制度があります。
一定の範囲の中で掛け金を積み立て、廃業や退職を迎えた時に共済金を全額、あるいは分割で受け取る制度です。
掛け金は全額は所得控除として扱われ、節税効果もあります。会社員のように退職金がない個人事業主の方が退職金を自ら作れる制度です。
まとめ
定年後の生活を安心して過ごすには、老後資金がどのくらいかかるのか未来をまず予測することが重要です。
簡単に貯蓄の方法をご紹介しましたが、自分のライフプランや勤務状況、現在の家計状況に合った方法で貯蓄を始める参考になれば幸いです。