こんにちは。安部智香です。
そろそろ、年末調整の季節がやって来ました。毎年、勤務先に年末調整の書類を提出しているものの、そもそも年末調整がよくわからないという人もいるのではないでしょうか。
そして、今年から変更されているところもしっかり理解しておきたいですね。
今回は年末調整の最新知識についてわかりやすくお伝えします。
・年末調整をしている人
・年末調整をしていてもよくわかってない人
・今年初めて年末調整をする人
そもそも年末調整とは
会社員や公務員の人は、毎年11月くらいになると勤務先で年末調整の用紙が配布されます。その時期になると、自宅に保険会社から「保険料控除証明書」という書類が送られてくるという人もいるのではないでしょうか。
年末調整の用紙に記入して、保険料控除証明書を添付して職場に提出することで払いすぎた税金が戻ってくる場合があるのです。
所得税の仕組み
年末調整には所得税の仕組みが大きくかかわっています。まずは所得税の仕組みについて知っておきましょう。
会社員や公務員の人は、毎月の給与から所得税が天引きされています。所得税は、1年間働くという仮定で、その人の所得に応じたおよその額を毎月天引きし、1年経過した時に実際の所得額をもとに計算をします。そして、実際に納める額より多く納めていた場合に差額が戻ってくるというわけです。
これが「年末調整」の仕組みです。
所得税は「所得」に対してかかります。
まず、年収から給与所得者の経費にあたる「給与所得控除」を差し引いたものが「給与所得」です。
「給与所得控除」は2020年から一律10万円少なくなり、年収850万円を超える人は上限が185万円になります。
下記の速算表で自分の年収に当てはめて計算してください。
給与所得控除の速算表(2020年度)
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
162万5,000円以下 | 55万円 |
162万5,000円超 180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 |
180万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
出典:国税庁
所得控除の種類
今、計算した「給与所得」から「所得控除」を差し引いたものが「課税所得」と呼ばれ、税金がかかるモトとなります。
つまり、できるだけたくさん「所得控除」を差し引くことで税金がかかるモトが少なくなるので、納める税金が少なくて済むのです。
所得控除は全部で14種類あります。
その中で、年末調整でできる所得控除は11種類です。
人に対しての控除
・基礎控除(2020年からは48万円)
・配偶者控除(13万円~38万円)
・配偶者特別控除(1万円~38万円)
・扶養控除(一般38万円、特定扶養親族63万円、老人扶養親族48万円・58万円)
・障害者控除(一般障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円)
・寡婦(寡夫)控除(27万円・35万円)
・勤労学生控除(27万円)
物に対しての控除
・社会保険料控除(納めた金額)
・生命保険料控除(最大12万円)
・地震保険料控除(最大5万円)
・小規模企業共済等掛金控除(支払った金額)
これらの控除を受けるためには、年末調整の時に自分から申告する必要があります。
年末調整でできない控除は確定申告で
先ほど所得控除は14種類あるとお伝えしました。
その中で、年末調整では控除できない所得控除が3つあります。それは「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」です。これらは、自分で確定申告をすることで税金が戻ってくる場合があります。
また、住宅ローンを利用して家を購入したりリフォームしたりした人は、1年目だけ確定申告をする必要があります。
①医療費控除
支払った医療費 -保険金など-10万円
(年間所得200万円未満の場合は総所得額の5%)
入院したり手術をしたりして医療費が多くかかったといいう人は、医療費控除をすることとで税金が戻ってくる場合があります。
また、「10万円も医療費を使っていない」という人は、セルフメディケーション税制を利用することができる場合があります。
健康診断や予防接種を受けている人が、1年間のOTC医薬品の購入額が合計12,000円を超えた場合に利用できます(最高8万8,000円)。
医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかの選択になるので、自分にとっておトクな方を選んでくださいね。
②雑損控除
(1)損失額-課税標準×10%
(2)災害関連支出-5万円
自然災害や盗難、横領などで個人の資産について損害を受けた人は(1)か(2)の多い方の金額の雑損控除を差し引くことができます。 損害額が大きくてその年に控除しきれない場合は、翌年以降(3年が限度)に繰り越して控除することができます。
③寄附金控除
その年に支出した特定寄附金の額の合計額またはその年の総所得金額等の40%相当額のいずれか低い金額ー2,000円
国や地方公共団体などに寄附をした場合、寄附金控除を受けることができます。
ふるさと納税も寄附金控除の対象になります。ただし、ワンストップ特例制度を利用した場合の確定申告は不要です。
④住宅借入金等特別控除
住宅ローンを利用してマイホームを購入した人は、住宅借入金等特別控除を受けることができる場合があります。1年目だけ確定申告をすると、2年目からは年末調整で控除できます。
税金は複雑というイメージがありますが、この機会に所得税の控除を正しく理解しておきたいですね。
そして払い過ぎた税金をしっかり取り戻しましょう!